愛★ヴォイス
「ちょ……親戚のおばさんかな、可哀想ー」


後ろを通った女子高生の冷ややかな言葉が、悶々と膨れ上がっていた私の欲望に、見事風穴を空けた。


(ーー……おばさん?)


もしかして。

いや、もしかしなくても。


(甥っ子の就職に口を挟む親戚のおばさん並みにがっついてた?!あたしーー)


改めて桐原さんの表情を見るに、やはりその顔は少し怯えている。


「えー…コホン」


私は大人げなかった態度を反省し、咳払い一つして、場を仕切り直した。


「ええっと――差し支えない範囲で、その“声”のお仕事についても伺えないかなぁと思いまして」

「はぁ……」

まだ訝しげな表情を浮かべる桐原さんに、今度こそはときっちり優しい笑顔を向ける。

「でも、本当に、真下さんにお伝えしても、あまりピンと来ないと思うんですけど……」

「はいはい」

依然引く様子のない私の態度に、渋々と言った面持ちで桐原さんが口を開いた。

「例えば…企業PVのナレ録り・ですとか」
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