愛★ヴォイス
「え?」


普段ならどんな喧騒でも通り抜ける桐原さんの声が、珍しく私の耳に届かないくらいくぐもっている。

私は思わず前のめり気味に聞き返した。


すると。


「俺は!真下さんを!がっかりさせたくなかったんですよっ!」


「……は?」


一気に上げられた声のボリュームと、その内容とで、なかなか状況を把握し切れない私は、目をぱちくりするしかない。


しかし、そんな私の目に飛び込んできたのは。


「男の見栄くらい……張らせてくださいよ……」


恥ずかしそうに目を逸らす、大きな大きな年下の男の子の姿・だった。
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