愛★ヴォイス
【声優業】トハ?
(ーーとは言ってたけど、やっぱり多少なりとも、舞台でやりたいんだろうなぁ……)
本来ならば盆前進行で忙殺されているはずの8月上旬であったが、気が付くと彼のことを考えてしまう。
あのあと、そそくさとバイトに向かってしまった桐原さんだけど、翌日には謝罪の言葉と、今後の彼のスケジュールが書かれたメールが送られてきていた。
【真下さんに、あんな風にガツンと言ってもらえて、俺、ちょっと嬉しかったです】
とも書かれていた。
私は彼の声が好きだから、これからもっともっと色々なところで、たくさん彼の声が聴けるような人気声優になって欲しいと思う。
でもこれまでずっと舞台で活躍してきた桐原さんのことを考えれば、そう簡単に割り切れるものだろうか?
全身で他者を体現し、自身に向けられるスポットライトの眩しさを、あのステージの軋みを、失う淋しさだってあるんじゃーー
「あの……真下さん?」
気が付くと、電話が鳴り響くフロアの奥から、後輩の女の子が立ち上がって私を呼んでいる。
「……!あ、ああ!ごめんごめん。電話?」
「はい。メディアの下野さんから内線6番です」
「ーーお待たせしました、真下です」
いけない、いけない。
仕事に集中!
本来ならば盆前進行で忙殺されているはずの8月上旬であったが、気が付くと彼のことを考えてしまう。
あのあと、そそくさとバイトに向かってしまった桐原さんだけど、翌日には謝罪の言葉と、今後の彼のスケジュールが書かれたメールが送られてきていた。
【真下さんに、あんな風にガツンと言ってもらえて、俺、ちょっと嬉しかったです】
とも書かれていた。
私は彼の声が好きだから、これからもっともっと色々なところで、たくさん彼の声が聴けるような人気声優になって欲しいと思う。
でもこれまでずっと舞台で活躍してきた桐原さんのことを考えれば、そう簡単に割り切れるものだろうか?
全身で他者を体現し、自身に向けられるスポットライトの眩しさを、あのステージの軋みを、失う淋しさだってあるんじゃーー
「あの……真下さん?」
気が付くと、電話が鳴り響くフロアの奥から、後輩の女の子が立ち上がって私を呼んでいる。
「……!あ、ああ!ごめんごめん。電話?」
「はい。メディアの下野さんから内線6番です」
「ーーお待たせしました、真下です」
いけない、いけない。
仕事に集中!