愛★ヴォイス
(ううっ……最近サイトのアクセス数が気になって、仕事に身が入ってなかったからなぁ)


部長から個人的に呼び出しを受けるなんて、きっと自分は余程のミスをしでかしたに違いない。


部長の程良く締まった足首と、カツカツと響くピンヒールに目を凝らしながら、私は自分の仕事の内容についてぐるぐると思いをめぐらせていた。


すると。


「あ!麻里さん、お疲れさまです」


聞き覚えのある声に顔を上げると、そこにはーー


「み、三田君?!」

「真下さん、ご無沙汰しています」

恭しく一礼する三田さんの笑顔は、あの夏の合コンで私たちをエスコートした時以上に磨きがかかっている。

本家イギリスバトラー協会(?)も太鼓判を押すであろう身のこなしで、部長の手荷物を預かる姿は、胸の弁護士バッヂがなければ有能な秘書に他ならない。


(ーーん?)


私はふと何かに違和感を覚えた。


(さっき三田君が呼んだ“麻里”ってーー)
< 34 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop