愛★ヴォイス
「思ったより早かったのね、永嗣(えいじ)」
部長もさらりと三田君を下の名前で呼んでいる。
目の前の状況について行けず、口をパクパクするだけの私に、部長が意地の悪い笑みを返した。
「真下、あんたはあの桐原って子に夢中で気付かなかったでしょうけど、社内じゃ有名な話よ」
そう口にするや否や、三田君の腰に手を回し――なんと!
部長はその場で、三田君に深く深く口づけたのだ!
「――――!!!!」
生まれて初めて目の当たりにした“生の”ラブシーンに、呆然と立ち尽くす他ない。
そんな私を余所目に、二人は着々とタクシーに乗り込んでいた。
後部座席には部長、助手席には三田君。
「ぼやぼやしてると置いて行くわよ」
茫然自失のまま、とにかく後部座席に滑り込んだ私に、追い打ちのごとく部長の容赦ない言葉が浴びせかけられる。
「まさかあんた路チューくらいで動揺してるんじゃないでしょうね」
部長はあくまでも冗談めかして笑っていたが、私には返す言葉がない。
(……はい、部長……初キスもまだの私に路チューは刺激が強すぎます……)
そんな事実を口に出せるはずもなく、私は心の中で応えるのが精一杯だった。
部長もさらりと三田君を下の名前で呼んでいる。
目の前の状況について行けず、口をパクパクするだけの私に、部長が意地の悪い笑みを返した。
「真下、あんたはあの桐原って子に夢中で気付かなかったでしょうけど、社内じゃ有名な話よ」
そう口にするや否や、三田君の腰に手を回し――なんと!
部長はその場で、三田君に深く深く口づけたのだ!
「――――!!!!」
生まれて初めて目の当たりにした“生の”ラブシーンに、呆然と立ち尽くす他ない。
そんな私を余所目に、二人は着々とタクシーに乗り込んでいた。
後部座席には部長、助手席には三田君。
「ぼやぼやしてると置いて行くわよ」
茫然自失のまま、とにかく後部座席に滑り込んだ私に、追い打ちのごとく部長の容赦ない言葉が浴びせかけられる。
「まさかあんた路チューくらいで動揺してるんじゃないでしょうね」
部長はあくまでも冗談めかして笑っていたが、私には返す言葉がない。
(……はい、部長……初キスもまだの私に路チューは刺激が強すぎます……)
そんな事実を口に出せるはずもなく、私は心の中で応えるのが精一杯だった。