愛★ヴォイス
しかも。


【直接ご報告したいことが出来ました。明日、お仕事終わりにお会いできませんか?】



こんな時に限って、単なる仕事の報告ではなく、待ち合わせのメールとは。



(どんな顔して会えばいいって言うのよ……)



ふとため息が漏れる。


こっちは声だけで辱めを受けた気分なのだ。



――当然、桐原さんには何の罪もないのだが。



断る理由も見つからず、そしてやっぱり桐原さんの生声が聴けるチャンスを、私が逃すはずもなく。




【明日は定時で上がれると思うので大丈夫です。念のため18:30にS駅南口改札前でお願いします】



メール受信から数分と経たず、待ち合わせを約束するメールを返したのだった。






待ち合わせ場所から程近い駅構内のカフェで、桐原さんと向かい合った私は、当然ながら激しく後悔していた。
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