愛★ヴォイス
「そのアニメで、レギュラー、決まりました」

「!!?」


これまでの羞恥心も忘れて顔を上げると、少し照れくさそうな、それでいて誇らしげな桐原さんの笑顔があった。


「こればっかりは、どうしても直接会ってご報告したいなって――」

「お、おめでとうございます!!」

「来月頭で情報解禁なんで、それまではオフレコでお願いしますね」


言いながらそっと人差し指を唇に当てる。


「わかりました!もちろん、絶対口外しませんっ!」


(わぁ……桐原さんがレギュラーで……)


改めて手にしているコミックスをぱらぱらとめくってみる。


(一体、桐原さんはどんな役なんだろう?)



「俺は……これですね、赤道周(せきどう・あまね)」


あるページで、桐原さんの指が差し挟まれた。


節の目立つ男性特有の指に、思わずどきりとする。



妖しい気持ちを抑えながら、指されたコマに目をやると、顔の半分を髪で隠し、神経質そうにメガネを指で押し上げているキャラクターがいた。


(またメガネキャラ……)


メガネキャラにはメガネ声優なんて、業界の法則でもあるのだろうか?
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