愛★ヴォイス
ツカノマノ【休息】
「実は……この雑誌が、先程の作品の特集を組むんです。その関係で自分にも取材依頼が来ていて」
「取材?!すごいじゃないですか!」
「それで今度、その撮影があるんですけど……実はマネージャーから、髪と服をどうにかしてこい、と」
思わず彼の身なりに目を遣る。
以前会った時よりも伸びた髪は全体的にもっさりしているし、服のシャツも襟元がくったりしていて、ジーンズは膝の部分が擦り切れていた。
「でも、撮影ならスタイリストがつくんじゃないですか?」
経理上、スタイリスト費用というのは良く目にする。
しかし桐原さんは緩く首を振った。
「こういう雑誌で男性声優にスタイリストがつくことは稀なんです。よっぽど大きな事務所か、個別に依頼するか――基本的にここに載ってるのは、みんな私服ってことが多いです」
「そうなんですか――なんか意外ですね」
特典としてCDが付いていた時に、何度か買ったことのある雑誌だったので、だいたい中身の見当はついている。
あの声優さんたちがほとんど私服なのだとしたら、それはけっこう大変なんじゃないだろうか。
しかし肝心の桐原さんの相談内容が見えてこない。
「それで――ご相談と言うのは?」
待ちかねてこちらから話を切り出す。
何故か迷いのこもった眼差しで、桐原さんは重々しく口を開いた。
「取材?!すごいじゃないですか!」
「それで今度、その撮影があるんですけど……実はマネージャーから、髪と服をどうにかしてこい、と」
思わず彼の身なりに目を遣る。
以前会った時よりも伸びた髪は全体的にもっさりしているし、服のシャツも襟元がくったりしていて、ジーンズは膝の部分が擦り切れていた。
「でも、撮影ならスタイリストがつくんじゃないですか?」
経理上、スタイリスト費用というのは良く目にする。
しかし桐原さんは緩く首を振った。
「こういう雑誌で男性声優にスタイリストがつくことは稀なんです。よっぽど大きな事務所か、個別に依頼するか――基本的にここに載ってるのは、みんな私服ってことが多いです」
「そうなんですか――なんか意外ですね」
特典としてCDが付いていた時に、何度か買ったことのある雑誌だったので、だいたい中身の見当はついている。
あの声優さんたちがほとんど私服なのだとしたら、それはけっこう大変なんじゃないだろうか。
しかし肝心の桐原さんの相談内容が見えてこない。
「それで――ご相談と言うのは?」
待ちかねてこちらから話を切り出す。
何故か迷いのこもった眼差しで、桐原さんは重々しく口を開いた。