愛★ヴォイス
(それにしても……)
と、周囲を見回す。
派手な格好をした若者でごった返している光景は、アラサー女子二人には眩しすぎる。
私はシフォンのロングスカートに丈の短いジャケット、レナはシャツワンピにニットボレロと、決して見た目に手を抜いている訳ではない。
しかしこの街では、天使の羽根をしょったピンク髪少女に、首輪やら手錠やらベルトやらで自分をがんじがらめにした少年が、平然と大通りを闊歩しているのである。
「あ……」
そんな中、ふと上げた視線の先で、人混みから頭一つ抜き出た、目立つ人物と目が合った。
少しオレンジがかった髪と、メガネの奥の灰色の瞳は、どこか異国の地を思い描かせる。
「真下さんっ!」
と、その人物がぶんぶんと手を振り、こちらに向かってくるではないか!
そしてこの胸を揺さぶる声の持ち主は間違いなく――
「……き、桐原さんっ??」
人混みから現れた首から下は、破れたジーンズによれたトレンチコートと、いつもの桐原さんの姿だ。
(しかし)
と改めてしげしげと顔を見遣る。
フチなしメガネを掛けたその国籍不明の美青年が「ん?」と微笑み返してきた。
思いがけない胸の高まりをごまかそうと、慌てて目を伏せる。
と、周囲を見回す。
派手な格好をした若者でごった返している光景は、アラサー女子二人には眩しすぎる。
私はシフォンのロングスカートに丈の短いジャケット、レナはシャツワンピにニットボレロと、決して見た目に手を抜いている訳ではない。
しかしこの街では、天使の羽根をしょったピンク髪少女に、首輪やら手錠やらベルトやらで自分をがんじがらめにした少年が、平然と大通りを闊歩しているのである。
「あ……」
そんな中、ふと上げた視線の先で、人混みから頭一つ抜き出た、目立つ人物と目が合った。
少しオレンジがかった髪と、メガネの奥の灰色の瞳は、どこか異国の地を思い描かせる。
「真下さんっ!」
と、その人物がぶんぶんと手を振り、こちらに向かってくるではないか!
そしてこの胸を揺さぶる声の持ち主は間違いなく――
「……き、桐原さんっ??」
人混みから現れた首から下は、破れたジーンズによれたトレンチコートと、いつもの桐原さんの姿だ。
(しかし)
と改めてしげしげと顔を見遣る。
フチなしメガネを掛けたその国籍不明の美青年が「ん?」と微笑み返してきた。
思いがけない胸の高まりをごまかそうと、慌てて目を伏せる。