愛★ヴォイス
翔くんの方が年下なのに、呼び捨てにされているあたりが何とも微笑ましい。


桐原さんと入れ替わるように、レナが私の隣に並んだ。


「ちょっと、ちょっと!彼、掘り出しものじゃない?!」


隣に並ぶなり激しく肘でこづかれて、すかさず脇腹を押さえた。


「――っ、もう。痛いわよ」

「翔も関心してたわぁ、化粧映えする、天性の役者顔だって」


(役者顔……)


ずきりと胸が痛んだ。


三田さんの話だと、桐原さんは声優業に籍を置きながら、最近まで舞台役者としての道を模索していたようだった。

それが私の不用意な一言で、声優業に専念する覚悟を決めたとも言っていた。



私は彼の声が好き。


もっともっと彼の声が聴きたい。



それは私の勝手なわがままで。



(彼の可能性を、私が奪った――?)
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