愛★ヴォイス
(まさか“あなたの声が原因です”なんて言えない……)
私たちは連れ立ってその公園を目指した。
私の身長は171センチで、女としてはかなりの高身長なのだが、彼もかなり背が高い。
おそらく185はあるだろう。
店を出るまで肩を貸してもらっていたが、ここまで自分を見下ろされたのは初めてだ。
「ああ、ここです。真下さんはそこのベンチに座ってて下さい。俺適当に買ってきます」
「あ・でもーー」
返事も聞かずに自販機に向かって行ってしまった。
仕方なく言われたとおりにベンチに腰掛けて彼を待つ。
水のペットボトルを差し出す彼に、私はとにかく謝った。
「すみません、こんなことにお付き合いさせてしまって……」
「俺は後で飯さえ食えれば問題ないっスから」
言いながら缶コーヒーを口に含む。
「自己紹介で言ったことは、冗談でも何でもなくて、事実なんで。三田は大学の時の演劇仲間なんですが、面倒見が良くて、中退した俺なんかにも何のかんのと理由付けて、こうしてタダ飯食わせてくれるんですよね。居酒屋なんかだと俺の声すごい便利らしくて」
聞きようによっては皮肉にも取れる台詞だが、彼の表情はとても晴れ晴れとしていて、とても卑屈には見えない。
「だから俺のことは本当に気にしないで下さい。真下さんの方こそ、誰かお目当ての男性がいたんなら、俺から三田にそれとなく伝えておきますよ」
魅力的な声で、そう言ってにっこり微笑む。
その笑顔に、私は無意識の内につぶやいていた。
「……桐原さん」
私たちは連れ立ってその公園を目指した。
私の身長は171センチで、女としてはかなりの高身長なのだが、彼もかなり背が高い。
おそらく185はあるだろう。
店を出るまで肩を貸してもらっていたが、ここまで自分を見下ろされたのは初めてだ。
「ああ、ここです。真下さんはそこのベンチに座ってて下さい。俺適当に買ってきます」
「あ・でもーー」
返事も聞かずに自販機に向かって行ってしまった。
仕方なく言われたとおりにベンチに腰掛けて彼を待つ。
水のペットボトルを差し出す彼に、私はとにかく謝った。
「すみません、こんなことにお付き合いさせてしまって……」
「俺は後で飯さえ食えれば問題ないっスから」
言いながら缶コーヒーを口に含む。
「自己紹介で言ったことは、冗談でも何でもなくて、事実なんで。三田は大学の時の演劇仲間なんですが、面倒見が良くて、中退した俺なんかにも何のかんのと理由付けて、こうしてタダ飯食わせてくれるんですよね。居酒屋なんかだと俺の声すごい便利らしくて」
聞きようによっては皮肉にも取れる台詞だが、彼の表情はとても晴れ晴れとしていて、とても卑屈には見えない。
「だから俺のことは本当に気にしないで下さい。真下さんの方こそ、誰かお目当ての男性がいたんなら、俺から三田にそれとなく伝えておきますよ」
魅力的な声で、そう言ってにっこり微笑む。
その笑顔に、私は無意識の内につぶやいていた。
「……桐原さん」