愛★ヴォイス
桐原さんだって、逐一三田さんに自分の状況を報告しているわけではないだろう。
情報が行き違いになっている可能性も十分ある。
かと言って、店に入って桐原さんについて訊ねることも躊躇われて、窓の外から中を窺うという、怪しい行為を繰り返していた。
(ストーカーの疑いで通報される前に止めなきゃな……)
と考えていたその日は、重役会議での決定待ちで、珍しく20時で退社となった。
これ幸いと電車に飛び乗り(いい加減タクシー代もかさんできていた)“居酒屋へいらっしゃい”に向かう。
一目でいいから、桐原さんの姿を確認したかった。
出来れば元気な姿であって欲しい。
願うような気持ちで、もはや定位置となった垣根の隙間から、店内を覗き込もうとしたその瞬間。
「あの……もしもし?」
くぐもった男の声と同時に、ぽんと肩に手が置かれた。
「ひあぁっ!」
(いよいよ来たか!警察か?!)
驚きと動揺が入り交じり、言葉にならない声を上げながら私はその場に崩れ落ちた。
情報が行き違いになっている可能性も十分ある。
かと言って、店に入って桐原さんについて訊ねることも躊躇われて、窓の外から中を窺うという、怪しい行為を繰り返していた。
(ストーカーの疑いで通報される前に止めなきゃな……)
と考えていたその日は、重役会議での決定待ちで、珍しく20時で退社となった。
これ幸いと電車に飛び乗り(いい加減タクシー代もかさんできていた)“居酒屋へいらっしゃい”に向かう。
一目でいいから、桐原さんの姿を確認したかった。
出来れば元気な姿であって欲しい。
願うような気持ちで、もはや定位置となった垣根の隙間から、店内を覗き込もうとしたその瞬間。
「あの……もしもし?」
くぐもった男の声と同時に、ぽんと肩に手が置かれた。
「ひあぁっ!」
(いよいよ来たか!警察か?!)
驚きと動揺が入り交じり、言葉にならない声を上げながら私はその場に崩れ落ちた。