愛★ヴォイス
(そういえば、初めて会った日も、公園に来たんだっけ)


夏の熱気をまとった空気を思い出そうとするが上手くいかない。


白い吐息が視界を遮るばかりだ。



「そういえば、初めてお会いした時も、こんな風に公園のベンチに座ってお話しましたね」


言いながら伸びをする彼の横顔に、思わずびっくりした顔を向けてしまう。


一瞬、心の中を読まれたのかと思った。



「あの……居酒屋のお仕事の方は大丈夫なんですか?」



確か、以前三田さんと店を訪れた時は、25時までの仕事だと言っていた。

公園の時計はまだ21時にもなっていない。



「ああ……最近、20時までのシフトに変えてもらったんです。開店から20時まで。来週には、ここのバイト辞めることになってますし」

「え……?」


どうりでここ数日、22時過ぎに店内を覗いても桐原さんを見かけなかったはずだ。

勤務時間そのものがずれていたのだ。


もし今日もここに来るのが22時過ぎになっていたら、事情を知らず、会えないまま彼が先にバイトをやめていたかもしれない。



「それは……やっぱり、声のお仕事の関係で――?」
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