一期一会
恋愛興味あり

@出逢い



ある春の日。

天気予報では、降水確率0%だったのに何故こんなに雨が降っているのだろう。
「雨なんて聞いてないよ~。梨夏ぁー、傘持ってきた?」
「持ってないよ、だって今日、雨降らないって言ってたもん!!」
「ナナ、持ってるよ」
いつもの3人組(空南、捺々香、うち)は、塾の前でたむろっていた。
「ナナ流石なんだけど!!」
「1本しかないから、二人で相合い傘してきなよ」
そう言って、捺々香はうちらに桜色の折り畳み傘を託した。
「えっ、でもナナは?」
「ナナは、純ちゃんと相合い傘して帰るからいいよー♪」
捺々香は隣のクラスの2年C組、三原純平くんと2週間前から付き合っている熱々カップルなのです。
「はいはい、リア充まじ乙!」
「いーじゃん。お幸せにっ」
「梨夏、あんがとー♪空南はナナをひがんでな~」
うちらは中学に入るまでバラバラの小学校で逢ったこともなかったのに、中1ん時、同じクラスになって大親友になった。
そのまま何分ぐらい喋っただろうか。雨は止む気配など見せずに、アスファルトに当たると滴になって、足元を行ったり来たりしていた。
「捺々香ぁ~」
「純ちゃーん、待ってたんだよ?」


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