一期一会
うちらは帰り道、その人の話で盛り上がって、キャッキャとしてた。うちの家の前まで着く。
「じゃ、また明日ね~」
「空南、気をつけて帰ってよ」
「解ってるって」
空南が見えなくなるまで手を振った。
ピピピピピピピッ
耳元で目覚まし時計が騒いだ。カーテンの隙間からの木漏れ日が顔に当たって眩しい。
重い身体を起こして、制服に着替え、鞄の中を確認。その後、部屋を出てリビングで朝食をとり、鏡の前へ。
ここからが1日のスタート。
緩めに全体をコテで巻いてから、ほんのりメイク。解らない程度に。スカートも折り込む。
よしっ、完成♪
「いってきます」
うちは玄関を出て学校に向かう。何も考えずに、ただボーッと通学路を歩いていた。
あー、前に誰かいる。
気付いたときにはもう遅くて、前にいた人にぶつかってしまった。しかも……
パタッ
立っていた紙がほんの少しの風に吹かれて倒れてしまうように、うちは容易く倒れてしまった。そりゃもう、見事にパタリと。
「大丈夫ですか」
うちはやっと正気に戻る。
うちは一体、何をやっているんだ。ぶつかって、一人で倒れて、ハズイ。恥ず過ぎる。
「すいません、すいません」