君が雨なら僕が花に。
入学式を終えた僕は、これから毎日通うことになる校舎を見ておきたくて、校門へと流れていく人波を外れて脇道に入った。

最近増築されたばかりの大学で、古い校舎と新しい校舎が混在していて、汚いんだか綺麗なんだか一口には表せない。

その古い校舎の1つに桜の箱と呼ばれている建物があるらしく、その校舎からは桜がよく見えるらしい。

特に二階の二○三教室は窓一面が桜の花で埋め尽くされ、絵画のようになるそうだ。

僕の足は軽快に桜の箱へと進んでいた。
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