君に伝える。
最初は荷台につかまっていたあたし。
そのうち、原岡君が

「佐藤、お前あぶねぇぞ」

と言ってきた。

「だってぇ、他につかまる所ないんだもん」

揺れる度にキャァキャァ叫ぶあたしに、
原岡君が低い声で言った。

「俺の腰に手まわせ」

腰っ!!
腰に手まわすの!?
それって、よく漫画とかである...
あのシーン??

その時、大きな揺れが来た。

「ひゃぁぁっ」

思わず原岡君の背中にひっつく。
そして、手は―――――――――

彼の腰にまわしていた。

「よし、そのまましっかりまわしとけ!」
「へ?ちょ、速くなってるよ~!?」
「速くしてんの!」

猛スピードで走る自転車。
風を切って、ビルの合間をすり抜けて、
どんどん進む。
< 12 / 262 >

この作品をシェア

pagetop