君に伝える。
辰巳 side
空き教室で、喜田が泣いていた。
細い肩を上下に揺らし、
声もなく、
ただ静かに、泣いていた。
「…喜田」
声をかけると、ゆっくりと顔をあげた。
その顔は涙でぐしゃぐしゃ。
雰囲気を壊すことを言うと、
鼻水も出ていた。
「鼻水、出てる…」
「見ないでよー、うるさいよー」
「ティッシュ、使う?」
「使うに決まってるよー」
「語尾、なんで伸ばすの?」
「知らないよーズビビビビ」
ちなみに、このズビズビ言う音は
喜田の鼻水をかんでいる音だ。