君に伝える。

辰巳 side








空き教室で、喜田が泣いていた。

細い肩を上下に揺らし、

声もなく、

ただ静かに、泣いていた。


「…喜田」

声をかけると、ゆっくりと顔をあげた。
その顔は涙でぐしゃぐしゃ。

雰囲気を壊すことを言うと、
鼻水も出ていた。

「鼻水、出てる…」
「見ないでよー、うるさいよー」
「ティッシュ、使う?」
「使うに決まってるよー」
「語尾、なんで伸ばすの?」
「知らないよーズビビビビ」

ちなみに、このズビズビ言う音は
喜田の鼻水をかんでいる音だ。

< 123 / 262 >

この作品をシェア

pagetop