君に伝える。

涙が出てくる。

悲しさや、恐怖じゃない。
浮気をされたであろう彼女への同情だ。

「泣いてる彩菜も可愛いよ。
 俺好みだ」

誰もアンタに好まれるため、
イメチェンしたんじゃないよ。
可愛く生まれてきたワケじゃないよ。

好きな人に愛されるため、
好きな人と幸せになるためなんだよ。

馬鹿じゃないの、見た目が少々いいからって。
アンタより格好いい人なんていくらでもいる。
ゴミのようにいるのよ。

「彩菜…」

彩菜のことを呼び捨てにしないで。
気持ち悪い、鳥肌がたつ。

顔を近づけないで。
触らないで。

またキスしようとするので、顔を背ける。

「なんで顔背けるの?」
「嫌だから」
「キスされるのが?
 さっきからずっとそうじゃんか」
「そうだよ」

「なんでだよ!!!」
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