君に伝える。

少し歩いた後、原岡君が自転車に乗った。

「佐藤、後ろ乗れよ」
「2人乗り?いいのかなー」
「前にもしただろ、大丈夫だって」
「…じゃ、じゃあ遠慮なく…」

今回は静かに荷台に乗る。

「で、話の続き聞かせてよ」
「あ、うん。それでね、彩菜がピンチになったとき、石神君が助けたの!」
「おー!ハッピーエンドじゃん」
「そうなの!でも、助け方がちょっと…」
「助け方?」
「うん…生徒会の会議室で襲われてたの。
 あたしが助けに行ったとき、
 鍵がかかって開けられなくて。

 そこに石神君が現れたんだけど、
 ドア蹴り倒すのかなって思ったら……」

ちょっと口ごもる。
なんとなく、恥ずかしくて言えない。

「思ったら?」
「…ぴ、ぴ…」
「ぴ?」
「ピッキング、だったの…!」

あぁー言っちゃったよぉ。
どうしよ、なんか恥ずかしいぃー。

なんで石神君ドア蹴り倒さなかったのよー。
報告するっこっちが恥ずかしいじゃん。
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