君に伝える。
「行ってすぐされたの?」
「う~ん…すぐ、じゃないけど」
「ちょっと話してからイキナリ?」
「うん。謝罪のつもりらしい」
「何ソレ!?気持ち悪いなぁ…
ちゃんと唇洗った?」
「手で拭いた」
「ダメだよ!彩菜の手まで汚れるじゃん。
ちゃんと水道で洗わないと!!」
…ってゆーか麻子冷静すぎない?
今までなら、もっと慌ててたと思うけど…
成長したんだね!!
泣けるよ彩菜!
泣けちゃうよぉ~!!
「どのくらいの強さ?」
「え、もう押し付けられる感じ」
「何秒ぐらい?」
「されてすぐ離れたから…3秒くらい」
しばらく考え込む麻子。
皆様、もう少しお待ちください。
「それ、キスじゃないよ」
「……へ?」
「それ、キスって言わない。
ただの衝突事故だよ」
「衝突事故…か。ありがとう麻子。
でも、彩菜にはそう思えないから」
衝突事故でも、
キスでも、
どちらにしろ彩菜に触れたのは事実。
遊喜に触れられると、
なんだか自分がダメになってく気がした。
それは遊喜に未練があるからとか、
遊喜がただ嫌いだからとかじゃない。
将器を、本気で愛しているからなんだ。