君に伝える。
悪夢
将器 side
思考回路が停止するって、こういうこと?
「彩菜たち、別れよ」
何いきなり言っちゃってんの。
別に付き合って別れることが
初めてなわけじゃない。
でも、こんなに早いのは初めてだ。
こんなに人を好きになったのも。
一体、何があったんだよ?
「なんで別れるの?」
「…あ、彩菜さぁ、ホントは、
ホントは遊喜が好きなんだよね」
「ウソつけ。襲われたとき、
あんなにも嫌がってたじゃねぇか」
キョドる彩菜。
分かりやすすぎんだよ。
もっとマシなウソつけよ。
「俺のこと嫌いになったの?」
「ち、違うっ!!それは、違う」
「じゃあ、なんで?」
「だから、ホントに遊喜が好きなの…!」
「あのとき超嫌がってたじゃん」
「あれは教室だったから!
遊喜の部屋とかなら、別にいいし…」
マジで言ってんの?
襲われたとき、泣いてたくせに。
襲う場所なんか関係ねぇだろ。
本気で怖かったんだろ。
「俺を騙そうとしてんの?」
「…そうだよ。悪い?」
「謎だらけなんだけど。
なんで俺を騙すのか、
なんで別れなきゃなんねぇのか、
なんで遊喜が出てくんのか」