君に伝える。





「サヨナラ、将器」








走り去る彩菜を、俺は追えなかった。
腕の痛みで。










「あーあ、嫌われちゃったね」
「遊喜、お前彩菜に何した」
「何って、キスした」
「き、キス!?」
「そうだよ。彩菜の初めて奪ってやった」
「…ざけんな!!」
「彩菜、嫌がらなかったよ?
 何回くらいしたっけなぁ…3、4回かな」

なんで嫌がらねぇんだよ。

拒否れよ!

本気で言ってたのかよ…
遊喜が好きって。

「じゃね、もうすぐ授業始まるよ。
 サボったら彩菜のせいになるかもね」
「なんで…」
「彩菜が引き止めたんだろ?
 サボった場合、俺が先生に言っとくよ。
 喜田さんが、石神君をサボらしました、
 ってね」

うざい!
ハンパなくうざいぞコイツ!!
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