君に伝える。



放課後――――――――――



「佐藤、修旅ってお菓子何円までだっけ?」
「600円だったと思う」
「しおり見して」

あたしが手に持っていたしおりを指さし、
貸してのポーズをとる彼。

「あ、はい」

渡した瞬間………………

手が、少し触れた。



もっと触りたい。
前までは気にしてなかったのに。
もっと近づきたい。
もっとしゃべりたい。
もっと、もっと……

「ふぇ……」

泣いちゃう。
泣いちゃうよ、あたし。

原岡君、頼むから今日だけは。
今日だけは、あたしの涙をその手で止めて。

「なんでそんなに可愛いの」
「うが」

あたしの頬をムニュッと真ん中に寄せる。

「そんな顔したら好きになっちゃうじゃん」
「ぢゃめにゃにょ?(ダメなの?)」
「なんて言ってるか分かんねぇけど、
 俺且元と付き合ってるから…」
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