君に伝える。
「できるし!」
「あ、ならいいんだけど」
天然は予測不可能で困ります。
「ねぇねぇ、彩菜って仲直りできたの?」
「知らんがな」
「あたしできたと思うなぁ~。
だって泣いてなかったし」
「そうだなぁ…できたんならいーけど」
心配そうな顔をする佐藤は、
本当に友達想いだと思う。
「できてたら……いいよな」
「うん。そだね」
「よし、んじゃ消毒すんぞ」
「はぁい」
保健室の机の引き出しから綿を取出し、
消毒液をしみこませる。
佐藤の顔を動かないように触ると……
「にゃっ!」
奇声を発し、首を小刻みに振った。
「え、何今の」
「ちょっと、くすぐったかった…」
「かーわーいーいー」
「可愛くないもん」
すねて膨れる頬の傷に綿をあてる。
「痛っ!しみるぅー」
「我慢しろ」
「原岡君の鬼!鬼!!」
鬼じゃないし。
むしろ雷さんだし。←どっちにしろ鬼。
消毒した後、絆創膏を貼る。
「…そういえば、前にも絆創膏貼ってもらったね」
「始業式のときか」
「そうそう!その傷跡、まだ残ってて」
「………そのころから」
「え?」
「そのころから、好きだったのかもな」