君に伝える。

キョトンとした顔で、佐藤が見る。

「何を?何を好きだったの?」

まさかの答えだな。
これも天然というべきか。
それとも、もう危険人物に部類すべきか。

「お前をだよ。佐藤が、好きだったの」
「……ありがと」

俺らがちょっといい雰囲気になった瞬間。

ガララララッ!!!

「何してんの」
「…野乃花(ノノカ)ちゃん…?」

………………………え、誰?

野乃花って、どっかで聞いたことあるな。
苗字が思い出せねぇ…

「また新しい男たぶらかしてんの」
「あたしそんなことしたっけ?」
「とぼけてんとちゃうで」
「とぼけてないもん」

何このムード。
昼ドラみたいな。

「……思い出した!」

そーだ思い出した!

「お前、楠城(クスノキ)だろ!
 楠城 野乃花!幼稚園で一緒だった」

幼稚園一緒だったんだ。

小学校入学前に大阪に引っ越したから
なかなか思い出せなかったけど…

「楠城久しぶりー」
「久しぶりやな、辰巳♥」
「覚えてんだ!嬉しー」
「忘れるわけないやんかぁ」

そして驚愕の一言。
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