君に伝える。
麻子 side
麻子またもや大ピンチ……
初めてチューした相手が原岡君?
ありえないよ。
「…そんなこと、したっけ?」
「したやん。うちが忘れるはずないで」
「なんでそんな自信満々なんだよー」
「記憶力には自信があるねん♪」
原岡君も、なんでそんな平気でいられるの。
彼女の前だよ?
ひどいよ……
「あと、チューした後にプロポーズされたのも覚えてるで」
「まぁ今では思い出だけどな」
…そうだよ、思い出思い出。
昔のことなんか誰も本気にしないもん。
「思い出なんかじゃない」
「……は?」
「今でも、うちは本気やねん。
辰巳だけが、好きやねん」
ウソでしょう?
誰かウソだって言って。
夢だって言って。
ただの悪夢ですむように。