君に伝える。

それよりなんで?
さっきの話!

あたしが野乃花ちゃんの好きな人を
取ったって。

昼ドラですか!?

「それで、俺に何が言いたいんだ?」
「麻子は猫かぶってんねん!
 天然を装って、男に取り入ってるんや!」

猫かぶってる……?

猫の着ぐるみかぶってる?
やだ、ちょっと可愛い♥

あたしホメられてるじゃん!

「でも、あたし猫の着ぐるみかぶってな…」
「かぶってるやんか!!」
「…そのくらい可愛いってことだよね?」
「可愛い子ぶるな!」
「ありがとう」
「いやいやいや、話噛み合ってないから」

うわぁ、ホメられちゃった…
うふふ、今日はいいことあるな、きっと。

「とにかく辰巳。
 その女はな、こうやって天然ぶって
 男を騙してきたんや」

だから、そんなことしてませんって。

だいたい天然じゃないもん、あたし。
ちゃんとした常識人ですー!

「俺にはそうは思えないけど」
「とりあえず、アンタの初チューの相手はうちや。
 その事実は変わらへんのやから」

うー。

あ、でも初ギューはあたしだもんねっ。
チューよりギューのが断然いいもんねっ。
何がいいのかは分からないけどっ。

そして野乃花ちゃんが保健室から
出ていくとき。

あたしの耳元で、こうささやいた。
< 221 / 262 >

この作品をシェア

pagetop