君に伝える。
それよりなんで?
さっきの話!
あたしが野乃花ちゃんの好きな人を
取ったって。
昼ドラですか!?
「それで、俺に何が言いたいんだ?」
「麻子は猫かぶってんねん!
天然を装って、男に取り入ってるんや!」
猫かぶってる……?
猫の着ぐるみかぶってる?
やだ、ちょっと可愛い♥
あたしホメられてるじゃん!
「でも、あたし猫の着ぐるみかぶってな…」
「かぶってるやんか!!」
「…そのくらい可愛いってことだよね?」
「可愛い子ぶるな!」
「ありがとう」
「いやいやいや、話噛み合ってないから」
うわぁ、ホメられちゃった…
うふふ、今日はいいことあるな、きっと。
「とにかく辰巳。
その女はな、こうやって天然ぶって
男を騙してきたんや」
だから、そんなことしてませんって。
だいたい天然じゃないもん、あたし。
ちゃんとした常識人ですー!
「俺にはそうは思えないけど」
「とりあえず、アンタの初チューの相手はうちや。
その事実は変わらへんのやから」
うー。
あ、でも初ギューはあたしだもんねっ。
チューよりギューのが断然いいもんねっ。
何がいいのかは分からないけどっ。
そして野乃花ちゃんが保健室から
出ていくとき。
あたしの耳元で、こうささやいた。