君に伝える。

2時間目 体育の授業―――――


「あー、やだなぁプール」
「いいじゃん麻子は泳げるんだから」
「彩菜だって今日は見学でしょ?いーな」
「よくないわよ、補習行かなきゃダメだし」

彩菜と更衣室に向かう。

「あ、転入生」
「野乃花ちゃんだよ」

今朝、野乃花ちゃんは転入生として
あたしたちのクラスに来た。

「クスノキ ノノカ、ねぇ」
「どしたの?」
「なんか嫌なんだよね、あの子」
「えー?あ、美人だから?」
「まぁね。気にしないで」

なんだろ。

でもまぁ人を見た目で判断するのは
良くないよぉー。

それにしても野乃花ちゃん、人気だなぁ。

男女ともに人気ある、みたいな。

転校初日だからかなぁ。
人がたわむれてる……

「野乃花ちゃん、どこから来たの?」
「前は大阪に住んでたねん」

あれ、声違うくない?
昨日はもっと低い怖い声だったような。

「昼休み、俺学校案内してあげようか?」
「うわ、それメッチャ嬉しい!」
「ホントに?じゃあ昼飯食べたら行こ」
「うん、うん!ありがとぉ大好きっ♥」
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