君に伝える。
渡せない?...渡したい
それにしても、いつ渡そう。
今日に限って委員の仕事ないしなぁ。
昨日のしおり作り、今日がよかった。
そしたら渡せたんだけど...
と、一人で悩んでいると。
「..佐藤さん」
顔をあげると、おさげの女の子。
メガネをかけた、華奢な子だ。
「はい?何...?」
「彩菜だよっ」
「あ..や..な??」
頭の中で反復する。
あやな、アヤナ、彩菜?
「彩菜っ!?」
「もー。嫌だなー。忘れないでよねぇ」
「ごめんって。もっと前に声かけてよ~」
「始業式のときに声かけそびれちゃった」