泣き恋心

入学式と違って卒業式はなんだか式場が寂しい感じに見えた。

あーこれで最後なんだなって改めて思った。

式が始まると担任は一人ずつ名前を呼び出した。

「栄崎ちえり」
「はい」

ちえりは大きく返事をして教壇に上がり証書を受け取り、階段を降りようとした時に親の席から声がした。

「ちえり~!」
「えっ…あっ!」
「おめでとう!」
「静かにして下さい!式中ですから」
「あっすみません!」
声主は涙梨で、先生に叱られてしまったが、ちえりも顔が赤かったけどどこか嬉しそうだった。

「宮田楼栗」
「はい」

先生に名前を呼ばれた私はちえりと同じように証書を取りにいった。

そして降りる際に親の席を見ると、叶矢が私を見てて目があった。
叶矢は私に向かってピースしてくれた。 私は思わず笑ってしまった。


ありがとう叶矢…
少しだけ気が楽になったよ…

そして全員証書を受け取り終わり、最後は「仰げば尊し」を歌った。
優梨は泣いちゃうしその横で水口が慰めていた。

私とちえりは泣きそうになったけど泣くのをこらえて最後まで歌った。

教室に帰ると親が見守るなか、最後のホームルームがあった。
先生に証書をもらったら花を先生に渡すことになっていたので皆泣きながら渡していた。
先生も少し半泣き状態だった。


最後に記念写真を撮り、在校生に見守られながら門を出た。
あー終わったんだなぁー卒業式…と思いながらちえりと話していた
「あれ?涙梨達は?」
「そういえばそうだね。」
「まぁ下にいるかもね!」
「だね!行こう!」
そう私達が行こうとした時、後ろから誰かに抱きしめられた。

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