ぷらっちなむ・パーフェクト
両者譲らず。二人の間を、東の方 沖から流れてくる湿気を含んだ海風がゆっくりと吹き抜けていく。

タカはバケツを置くと、橋の真ん中から陽の沈みかけた西の方へ向って竿を振りかぶる。

何が始まるのか、という顔で奈津達5人はタカの行動を見守っている。

ヒュン!という風切音とともに竿が振り下ろされると、竿から糸が勢い良く伸びていく。糸の先の針と鉛は重力を感じさせないままみるみるうちに小さくなっていく。

糸の先が伸びて行った向こう、1.5km程上流には、もう一つの橋がある。

その橋の欄干に、釣り糸がくるんと絡まり二つの橋が糸で繋がった。

「どうしてもやると言うんなら」

釣り糸をぴんと張り、釣り糸を釣竿から切り離す。

「この糸よりこっちには入ってくるな」

橋の欄干に切り離した釣り糸を結びつける。

長さ1500mのボーダー・ライン。白金に輝く半透明の糸によって、川が、町が、南北に分けられた。
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