ぷらっちなむ・パーフェクト
ぼくのたいせつなもの
「那美さん、おはようございますー！」

数日後、梅男と晴が外房マリンにやって来た。滑走できる面積が半分となってしまったが、その川にも慣れ梅男は張り切っていた。

時刻は朝の８時。真夏の炎天下に向けて太陽が調子を出し始める頃だ。

「あらやだ、もうそんな時間？」

那美は我に返り、それまで睨むように眺めていた折込チラシから目を離すと、慌ててカウンターの上を整理し始めた。

「那美さん、お疲れかな？」

晴が待合スペースのソファに腰掛ける。

「ん。ちょっとね」

新聞とチラシをまとめると、カウンターの向こうの机に　ぽん　と放り投げる。

「ちゃんと寝ないと肌が荒れるぜー。もう若くないんだしさ」

梅男はそう言うと、ちょっと大げさに身構える。

「。。。そうね。気をつけないと」

「あ、ありり」

歳と肌の事を言うといつも決まって睨まれていたのだが、いつもと違う反応に身構えていた梅男は肩透かしを喰らった表情になる。
< 108 / 185 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop