ぷらっちなむ・パーフェクト
梅男はマエケンから手を離すと、将一と向かい合う。

「痛ぇな、オイ」

表情こそ平成を装っているが、二人の腕には血管浮き上がり、これでもかというくらい力がこめられている。

「梅男、待て。落ち着け」

晴が間に割って入ろうと二人の掴み合う腕に体重を乗せる。が、まるでびくともしないため晴はただぶら下がるだけとなる。

「こんなことされて落ち着けって言うのか?俺達はどこまでガマンすればいいんだ?俺達はホトケか?ホトケの武井か?」

梅男は将一から目を離さないまま晴に言う。ちなみに、武井とは高校の頃の古典の先生で、一度も怒ったことが無いという伝説があった。実際、怒ったとこは見たこと無い。

「何の話だ?」

「しらばっくれんな!」

梅男が空いた方の手でチラシを将一に投げつけると、そのまま橋の上に落ちた。

外房マリンで那美が見ていたチラシ。そして、町中にばら撒かれたチラシ。

それは、川から魚がいなくなった原因がマリンジェットの騒音である旨の内容だった。店名は伏せられているが、関節的にマリンショップを誹謗中傷する内容にもなっていた。
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