ぷらっちなむ・パーフェクト
「えらいじゃない」

「いやぁ。。。」

「こないだの、満里ちゃんだっけ。あの娘のため？」

「そんなんじゃ。。。」

言葉が途切れる。照れてるわけではない。何の為かなんて面と向かって考えたことなどなかったからだ。

一週間という限られた時間の中、精一杯鳴き続ける。命をかけた叫び声。二人はまばらになり始めた蝉の声をしばらく聞いていた。

「別に、魚が消えたのはあんたたちのせいじゃないわよ」

「、、、うん。わかってる」

「でもたしかに、彼らの言いたいこともすごくよくわかるの」

「え？」

奈津は驚いて思わず那美の横顔を見上げる。

「この町の、この川を大切にしている人達にとっては面白くないことかもしれない」

あんなチラシをばら撒かれ、それでも相手に理解を示す那美が意外だった。

「そんなこと、、、」

「ここを大きくするときも反対する町の人は大勢いたし、今でも良く思わない人もいるのは事実よ」

那美の目はいつの間にか外房マリンのログハウスに向けられていた。
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表紙・目次

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