ぷらっちなむ・パーフェクト
「きっと父さんも、生きてたら反対してたんじゃないかな。。。」

奈津達が高校を卒業した年、外房マリンの社長である那美の父親が逝去した。那美は急遽東京から呼び戻され、外房マリンを引き継いだ。

それまでこじんまりと経営をしていた外房マリン。その規模を拡大したのは他でもない、那美だ。

「うちも、ボートも、もしかしたら私たち人間も、川や魚にとっては必要のない存在なのかもしれないわね」

当時はたから見ていただけだが、正当な後継ぎである那美がおさまるべきところ、外房マリンの主にすんなりと納まったように見えた。

だが、奈津はその経緯の詳しいことは何一つ聞いていない。

今、こうして隣に座り話をしている那美の横顔を見る。

淡々と話をしているが、きっと当時のことを思い出し、色々な思いが巡っているに違いない。

人間はその真実を心の中に飲み込み、そしてそれぞれの戦争をしているのだ。
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