ぷらっちなむ・パーフェクト
「那美さーん。もうしないからさー、勘弁してよ~」

「だめよ。あんたには常識と反省の精神ってのが欠如してるわ」

外房マリンのウッドデッキで正座させられている梅男。向こう岸では釣り用の桟橋で将一が正座させられていた。

那美は少し離れた土手で考え込む奈津の方を見る。

オレンジ色のグラスを片手に何事かを呪文のようにぶつぶつと繰り返している。川から目線を少し上にあげると川を二つに分けた白金の糸。

奈津は頭をくしゃくしゃと掻き乱す。

「余計な事言っちゃったかしら」

「え?」

那美の独り言に梅男が反応する。

「ううん。こっちの話。あんたは当分の間正座してなさい」

「そんな~。成長止まっちゃうよ~」

「あんたまだ成長するつもり?」

オレンジ色に照らされた川をボートがのんびりと通過していく。頭を抱えた奈津は、そのボートを目で追いながら無意識にグラスのストローを吸った。

「ぶー!!」

イソジンに人参の皮を混ぜた味がした。
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