ぷらっちなむ・パーフェクト
次の日。今日はお盆のど真ん中。ぱんぱんかと思っていた外房マリンの客の入りも、若干の空きがある状態だった。

「意外と都会人も墓参りするのかもな」

ウエットスーツを身に着け終えると、梅男はそそくさと川に向かう。

「お墓参りかどうかはわからないけど、おかげで、やーっと、練習が、んーっ、できる、んーっ」

サイズがちょっときつめの富田は悪戦苦闘している。

「おら奈津!早くしろよ」

昨日からの胸騒ぎは相変わらず続いている。そのためか、どこか動きは緩慢だ。

痺れを切らした梅男が奈津に激を飛ばす。

「準備はいい?」

「いちいち聞くな。早く行けって」

奈津は上空の釣り糸が引いた、川の境界線を越えないように注意しながらマリンジェットを操る。

タカは奈津達の姿が目に入らないよう、プカプカと上下する浮きを見つめている。

お互い胸につかえるものを抱えながら、それぞれの領域で成すべき事をやっていた。

奈津の胸騒ぎはどんどん大きくなり、押さえ切れないほどに膨れ上がっていた。
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