ぷらっちなむ・パーフェクト

ウッドデッキの３人は思わず息を飲む。

ざっ　　　ぱーーーん

大量の水を巻き上げ、白い巨体が舞い上がる。こんな時でなければ感嘆の声をあげてしまっていたであろう、美しく輝く白金色の体躯だった。

強大なエネルギーによって舞い上がった体躯は、放物線を描いた後轟音と共に川へ吸い込まれていく。

巨大魚が川に姿を消し、辺りは静寂を取り戻す。視界に残ったのは、大きく波打つ水面と、それまでとは逆方向に進む奈津だった。

巨大魚が舞い上がる瞬間、奈津はハンドルを思いっきり左へ切り、間一髪のところで急旋回したのだ。

「梅男！そのまま！」

「てめーの考えることくらいわかってらー！」

急激な方向転換で大きく弧を描くように回りこんだ梅男は、ロープから手を離しその遠心力の惰性のまま外房マリンの桟橋にへばりつく。

「生きてる、俺生きてる！」

紺と晴に引き上げられながら梅男が息も絶え絶えになっている。

ちょっと乱暴なやり方だったが、梅男を無事に岸に届けると奈津は後ろを振り返る。白いコブは見えなくなっていた。