ぷらっちなむ・パーフェクト
ひとまず危機が去っていったのを確認すると、前を向いて大きく息を吐く。

気を抜いてまるっきり無防備な状態だった。正面には、さきほど振り切ったはずの白いコブが不気味に待ち構えていた。

「うぁっ!」

反応できるはずもなく激突した。

マリンジェットとともに大きくバウンドし、前方に投げ出される。その衝撃で部品か何かの欠片が飛び散る。ぐわっしゃーん。

勢い良く水中へ放り込まれた奈津は、水中で必死にもがいて上方、水面を探す。こんな時でも水中で目を開けられないクセは治らなかった。

早く、早く逃げなきゃ

やっとのこと水面から浮かび上がると、急いで顔を拭う。そうしないと目を開けることができない。シャンプーしている小さな子供のように。

目を開けると、白いコブは奈津が浮かび上がってくるのを待っていたかのようにじっと見ていた。

ままま待っててくれてどうもありがとう

心の中で律儀にお礼を言うと、急いで逃げるように泳ぎ出す。が、さっきの衝突の際どこかにぶつけたんだろうか、足の感覚は無く、言うことも聞かない。
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