ぷらっちなむ・パーフェクト
風が優しく通り抜けていく。上空の雲はその優しい風に流されて、ゆっくりと頭の上を右から左へと、表情の無いまま素通りしていく。

一度だけ行った東京の町。そこを無表情で行き交う人の群れを思い出させる。

今度は町を見下ろす。小さい頃、日替わりで色んな表情をみせていた町。その町並みも、無機質に立ち並ぶ都会のビルのように見えた。

大人になったから?

満里は心の中で問いかける。

流れる雲が無表情なのは、見下ろす町の景色が無機質なのは、なぜ?奈津達に案内された雀島とは、何が違うの?

「こんなとこにいたのか」

ふいに声がするほうを振り返る。明が立っていた。
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