ぷらっちなむ・パーフェクト
満里は手をつないで家へと向かうあの頃の姿を思い出す。

特徴のある木には名前を付けた。通るたびにあいさつをした。話をした。返事は返ってこないが、優しく微笑んで頷いてくれているようだった。

あの頃の記憶がどんどんどんどんと蘇ってくる。木々のざわめき、土のにおい、風の感触、四季の表情。

薄暗い山道も怖くはなかった。明が一緒にいるということもあったが、1人でも恐怖を感じることなく帰れたであろう。

山がやさしく見守っていてくれていたから。

全身でこの山と会話をしていたんだ。心を閉ざしていたのは自分のほうだ。
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