ぷらっちなむ・パーフェクト
「、、、なんでよ」

満理はそれ以上の言葉が出てこない。同じ言葉を繰り返すだけだ。胸が締め上げられるように痛んだ。

あの山で生まれ育ち、人生の殆どを過ごした自分。自分の成長を見守ってもらって来た。

高校生の頃にいなくなった母親の姿を、あの山に重ね思い描いていた。

自分は閉山を止めるために、何かしただろうか。何か考えを巡らせただろうか。

、、、何もしていない。

山の閉鎖を見知らぬ誰かのせいにする。どこかの知らない大人が決めちゃったんだ、と。

誰かのせいにして、何もせずにあきらめている自分。

目の前で、必死にもがく男たちの姿を見る。思わず目を強く瞑り下を向いてしまう。

戦わなきゃいけないのは、誰なのよ。

「あの子達はねぇ、単純なの。何もせずに諦めるってことを知らないの。まぁ、ばかとも言うんだけど」

那美は満理の肩に手をかける。
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