ぷらっちなむ・パーフェクト
「おう」

外房マリン側の桟橋でスタンバイしていた紺が声をかける。満里は小さく右手を上げて応える。

それだけ言うと、紺は川のほうを向いてしまう。奈津が倒れたら次は紺なのだろう、既に臨戦態勢へと入っている。

満里は邪魔にならないよう、一歩引いたその場所に黙って立つことにした。

「なにしてんだよ、そんなとこで」

ふいに紺は川の方を見たまま言った。

満里はその微妙な言葉尻に驚く。

『こんなとこ』ではなく、『そんなとこ』

まさに日本語の妙味。
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