ぷらっちなむ・パーフェクト
巨大魚は右に左に激しさを増していく。いや、巨大魚の動き自体に変わりはないのだろうが、糸が短くなっていくに連れて対応が難しくなっていく。

それに加え、1回目、2回目と続いた滑走で膝も手もケタケタと大笑いしている。

釣竿にしがみつき、水面でバランスを保つのが精一杯だった。

向こう岸では、紺か晴がスタンバイしてくれてるはずだ。ここは二人に任せて休もう。少し休んでまた挑戦すればいい。

釣竿を握る手をゆるめようとした。

その時

どこからともなく聞こえてきた声。

巨大魚が急旋回したため、奈津はあわてて目線を川に戻す。再び確認することはできなかったが、確かにあれは。

もう一度その声は聞こえてきた。今度ははっきりと。

奈津 負けないで
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