ぷらっちなむ・パーフェクト
突進してくる巨大魚。

奈津は腰にぶら下げていたラミネート加工のお札を手に取る。

信じていたわけではない。無意識の行動だ。

推進力を失っているが、奈津は不思議と水面でバランスを保つ。

巨大魚が猛スピードで奈津に迫る。そのスピードは距離を縮める毎に、一層増していくように見えた。

やがて両者の距離がなくなる。

「奈津ー!」

満里の声が聞こえた。はっきりと。この耳と、直接頭の中に。

上空から稲妻のような閃光が走る。目の前が真っ白になる。辺りからは、一切の音が消えた。
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