ぷらっちなむ・パーフェクト
「ちょっと奈津、元気だしなよ」

満里が奈津の背中に向かって言った。

奈津はペンションにある喫茶室のカウンターでがっくりとうなだれている。

昼間の怪我で顔全体を包帯でぐるぐる巻きにされていた。

「んん。。。」

一応返事はするものの、力ない声を発しながらカウンターに突っ伏したままの奈津。

「たいした怪我じゃなくてよかったじゃない」

3針縫って全治3週間。充分大した怪我だと思うんだけど。

「うん。。。」

「もう。荷物まとまったの?」

「・・・まだ」

「明日出発でしょ。待たせたらまた置いてかれるよ」

「う。。。」

何年か前、もたもたしている奈津は本気でおいて行かれたことがある。

みんなはわざとじゃないと主張しているが、わざとじゃないとしてもそれはそれでひどいことではないか。だって存在を忘れてたってことでしょ。
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