ぷらっちなむ・パーフェクト
それから5人と満里はとりとめのない話を絶えることなく続けた。

会話の終わりが別れの時と告げられているように。

「オーナー、レモン水ないっすか?」

「ちょっと梅男、いきなりなによ」

「俺は今レモン水を一気飲みしたいんだ」

「レモンって、太陽の味がするよね」

「すっげぇ薄くていいんだ。うっ薄ーいレモン水が一気飲みしてぇ」

来年また会える。

一時とはいえやっぱり別れなのだ。名残惜しいのだ。

毎日どれほどの言葉を交わしても、寂しくない別れなどないのだろう。

ぽっぽ~ぽっぽ~♪

喫茶室の鳩時計が鳴った。話を遮られ、みんなが一斉に鳩時計に注目する。

ぽっぽ~ぽっぽ~♪

「うるせぇ!」

話を中断され、梅男が鳩時計の小窓から顔を出す鳩に向かって叫ぶ。

ばたん!

わかってるよ、うるせぇな。俺だって好きで鳴いてんじゃねぇんだよ。と言わんばかりに鳩は11回鳴き終えたあと、乱暴に小窓を閉めると時計の中に引っ込んで行った。

明はカウンターに並ぶ6人の顔を見ると、静かに、そしてゆっくりと言った。

「そろそろバスの時間かな」
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