ぷらっちなむ・パーフェクト
奈津はバスのシートに ズリズリ っと深く凭れ掛かる。

時間になり、5人を乗せたバスはゆっくりと動き出す。

もう何度とも無く繰り返されている光景だが、胸にこみ上げてくるこの複雑な感情に慣れることはない。

冬との別れの寂しさと、春到来の希望感。

「まーた来年ねー!!」

満里は両手を大きく振ってバスを見送る。

隣の明はさすがに両手をぶんぶん振ることは無いが、別れを惜しんでくれてるのはその表情から充分にわかった。

これから自分達が生まれ育った町に戻って、熱くて暑い、本に書いたらぶ厚い夏を過ごすのだ。

これは、そんな冬少年達(27歳だけど)の、夏物語である。

5人は窓から体を乗り出し、元気良く別れを告げた。見送る二人に、山に、そして冬に。

「まっっったねー!!」
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