ぷらっちなむ・パーフェクト
那美は程よい感覚をあけ、無造作に並べられた手作りのテーブルに手際よく日よけのパラソルをセットしていく。

「アンタ達、他にすることないわけ?」

川では、マリンジェットに引っ張られてウェイクボードをしている若者たちが奇声をあげて水面を元気に滑走している。

「なんかっつってもなぁ」そんな若者達を梅男は目で追いかけていく。

「これじゃ、ねぇ」富田も梅男と同じものを目で追いながら自分の腹をさする。

「気になるのか君は」

「やっぱウェットスーツって、体型強調されてやばいじゃんね」

「強調されなくても十分やばいじゃんね」梅男は富田の腹をつまむ。

「夏は夏らしく。冬は冬らしく。ね」富田はビーチベッドに深く沈みこみながら言う。

「夏は遊ぶ時間ですよーーー」伸びをしながら発した梅男の声は、犬の遠吠えのように外房マリンに鳴り響いた。
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